令和6年度(2024年)春期
令和6年度 基本情報技術者[午前]
皆さまからのご意見を参考に,この解説をより良いものにしていきたいと思います。
「私はこう解いた」「こういう説明の方が分かりやすい」など、
具体的なご意見がありましたらお問い合わせフォームまでお寄せください。
なお、令和5年度 基本情報技術者試験 解答速報については、公開されている一部の問題(科目A)の解答となりますので、予めご承知おきください。
- 問1
- 解答 ウ
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(AND は両方が1の時に結果が1になる。
OR は少なくとも一方が1の時に結果が1になる。
(1)真理値表の4行目に着目する。X AND (X□Y) が1であり,左項のXが1であるから,右項の (X□Y) の4行目は1である。
(2)真理値表の1行目・2行目に着目する。X OR (X□Y) が1であり,左項のXが0であるから,右項の (X□Y) の1行目・2行目は1である。
(3)解答群のなかで (X□Y) の1・2・4行目が1なのは ウ だけである。
- 問2
- 解答 エ
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大きさが10の表にアルファベットをあてはめると
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z
選択肢の中ではdとxが同じ4番の列に衝突が起こる。
- 問3
- 解答 イ
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キャッシュメモリのヒット率とは,CPUが必要とするデータがキャッシュメモリに存在する確率。
キャッシュメモリのヒット率をxとすると,データがキャッシュメモリに存在せず,主記憶にある確率は,(1-x)で表される。
したがって,
CPU Xのアクセス時間は,40x+400(1-x)
CPU Yのアクセス時間は,20x+580(1-x)
また,両者の処理時間が等しいなら,40x+400(1-x) = 20x+580(1-x) となるため,これを解いて x= 0.9
- 問4
- 解答 エ
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今年度のMTBFは3,000時間。翌年は20%分の改善とあるため,3,000×(1+0.2)= 3,600時間となる。
また,今年度のMTTRは1,000時間。翌年は10%分の改善とあるため,1,000×(1-0.1)= 900時間となる。
稼働率は MTBF ÷(MTBF+MTTR)で求めることができる。上記の数字をあてはめると
3,600 ÷ (3,600+900)= 0.8
- 問5
- 解答 ウ
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マッシュアップとは,Web API(他のソフトウェアと機能を共有できるようにしたもの)を組み合わせ,新しいサービスを開発すること。
マッシュアップには下記の種類がある。
・プレゼンテーションマップ 他のWebページを表示する
・データマッシュアップ 他のWebページのデータを加工して表示する
・ロジックマッシュアップ 他のWebページの機能を加工して表示する
ア 「利用者が選択した飲食店情報のページを表示する際に,他のWebサービスが提供する地図コンテンツをアクセスマップとして表示する。」はプレゼンテーションマップアップの例
イ 「利用者が選択した投資商品の情報を表示する際に,関連する経済指標のデータを複数のWebサービスから取得し,グラフに加工して表示する。」はデータマッシュアップの例
ウ 〇 「利用者が入力した予算の範囲で宿泊可能な施設のリストを他のWebサービスから取得し,それらの宿泊施設の空室状況を別のWebサービスから取得して表示する。」はロジックマッシュアップの例
エ 「利用者がマウスのドラッグで地図を操作した際に,Webページ全体ではなく一部を読み直すことによって地図をスクロールして表示する。」はマッシュアップではなく,非同期通信の例
- 問6
- 解答 ア
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ア 〇 「アンチエイリアシング」とは,画面に画像を表示する際,斜線や曲線などで発生する階段状のギザギザを目立たなくする技法
イ 「シェーディング」とは,立体モデルに陰影や光沢などの表現を加えて,より立体感をつける技法
ウ 「テクスチャマッピング」とは,モデリングされた物体の表面に柄や模様などの2次元画像を貼り付ける技法
エ 「バンプマッピング」とは,イメージマップをもとに,擬似的に凹凸感を生成する技法
- 問7
- 解答 ウ
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データベースのトランザクション処理において必要とされるACID(Atomicity(原子性)Consistency(一貫性)Isolation(独立性)Durability(永続性))特性に関する問題。
ア 「同一データベースに対する同一処理は,何度実行しても結果は同じである」Consistency(一貫性)の説明
イ 「トランザクション完了後にハードウェア障害が発生しても,更新されたデータベースの内容は保証される」Durability(永続性)の説明
ウ 〇 「トランザクション内の処理は,全てが実行されるか,全てが取り消されるかのいずれかである」はAtomicity(原子性)の説明
エ 「一つのトランザクションの処理結果は,他のトランザクション処理の影響を受けない」はIsolation(独立性)の説明
- 問8
- 解答 ウ
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ア ゲートウェイとは,OSI基本参照モデルの第5~7層に対応する
イ ブリッジとは,MACアドレスを基にしてフレームを中継する
ウ 〇 リピータとは,データ伝送媒体上の信号を物理層で増幅して中継することにより伝送距離を延長する
エ ルータとは,IPアドレスを基にしてパケットを中継する
- 問9
- 解答 ウ
- ペネトレーションテストとは,脆弱性検査のひとつで,情報機器に対し擬似的な攻撃を試みる検査。脆弱性検査とは,情報システムにある脆弱性を発見するための検査。
- 問10
- 解答 エ
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SQLインジェクションとは,不正なSQL文字列をパラメータとしてWebサイトへ送り,データベースを改ざんしたり,不正に情報を入手する攻撃手法のこと。
ア 「URLをWebページに出力するときは,"http://"や"https://"で始まるURLだけを許可する。はクロスサイトスクリプティングの対策
イ 「外部からのパラメータでWebサーバ内のファイル名を直接指定しない。」はディレクトリトラバーサルの対策
ウ 「スタイルシートを任意のWebサイトから取り込めるようにしない。」はCSSインジェクションの対策
エ 〇 「プレースホルダを使って命令文を組み立てる。」プレースホルダとはユーザーに入力を求める機能。プレースホルダに入力した内容は文字となるため,SQLインジェクションとして有効
- 問11
- 解答 ウ
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ア エミュレータは,コンピュータの模倣装置や模倣ソフトウェアを意味する
イ シミュレータは,模擬実験や模擬訓練のためのハードウェアやソフトウェアを意味する
ウ ○ スタブは,トップダウンテストで使用される代替の下位モジュール
エ ドライバは,ボトムアップテストで使用する代替の上位モジュール
- 問12
- 解答 エ
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アジャイル開発の1つであるスクラム開発は,ソフトウェアやサービスの開発において,チームで協力して開発を進める手法。
スクラムは小さな単位でシステムに必要な機能の計画と実装を繰り返す開発手法で,この反復の単位をスプリントと呼ぶ。
ア 「スプリントプランニング」はスプリントの計画
イ 「スプリントレトロスペクティブ」は開発チーム内でスプリントの振り返りを行うミーティング
ウ 「スプリントレビュー」はスプリント期間中に達成した成果物や進捗状況を開発チームや受注側とで共有すること
エ 〇 「デイリースクラム」は毎日決まった時間,決まった場所で開発チームの全員が進捗状況,作業計画を共有すること
- 問13
- 解答 ウ
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最少で何日かかるかと問われた場合は,クリティカルパス(開始から終了までをつなぐ最も時間のかかる経路)を求める。
クリティカルパスは,A(30)→C(30)→ダミー作業→G(30)→H(30)の120日間。
- 問14
- 解答 ウ
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ア 運用テストは運用部門が主導する
イ 開発部門の支援を受けた方が効果的である
ウ ○ 運用部門からもシステムの運用に関わる要件の抽出に積極的に参加する
エ 運用テストは運用部門が主導する
- 問15
- 解答 エ
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構造化データは,データベースのように,あらかじめ決められた形式に従って格納されたデータ。
非構造化データはSNSの投稿など形式が決まっていないデータ。テキスト,画像,動画,音声などが含まれる。
ア 「関係データベースに蓄積された大量の財務データから必要な条件に合致するデータを抽出し,利用者が扱いやすい表計算ソフトウェアデータに加工する。」はともにデータベースの構造化データを表計算ソフトの構造化データに加工している
イ 「個人情報を含むビッグデータを更に利活用するために,特定の個を識別することができないように匿名化加工する。」は非構造化データ内容を変えただけで形式は変更していない
ウ 「住所データ項目の中にある,"ヶ"と"が"の混在や,丁番地の表記不統を,標準化された表記へ統一するために加工する。」は住所表記のゆれを統一することで同一住所を検索することができるがデータの形式は構造化データのままで変わらない。
エ 〇 「ソーシャルメディアの口コミを機械学習によって単語ごとに分解し,要約を作り,分析可能なデータに加工し,関係データベースに保管する。」は口コミの非構造化データをデータベースの構造化データに変更している。
- 問16
- 解答 エ
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コアコンピタンスとは(core competence),競合他社にまねのできない卓越した能力をさす。この強みに資本を集中投下して競合他社との差別化を図る経営戦略をコアコンピタンス経営という。
ア 「経営活動における基本精神や行動指針」は企業理念の説明
イ 「事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標」は経営目標の説明
ウ 「自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威」はSWOT分析の外部環境の説明
エ 〇「他社との差別化の源泉となる経営資源」はコアコンピタンスの説明
- 問17
- 解答 ア
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ブルーオーシャン戦略とは,同名のビジネス書で提唱された経営戦略。レッドオーシャン(競争の激しい市場,血で血を洗う赤い海)で戦うよりも,ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場,激しい波のない青い海)を切り開いていくのが効果的だと説く。
ア 〇「競争が存在していない未知の市場」はブルーオーシャン戦略の説明
イ 「コモディティ化が進んだ既存の市場」コモディティ化とは,市場に参入した際に価値があった商品が,市場の活性化や競合商品の登場などにより,価値が低下して一般的な商品になってしまうことを指す用語。ブルーオーシャン戦略ではない。
ウ 「新事業のアイディアを実際のビジネスに育成するまでの期間」はTime to Market (TTM)の説明
エ 「製品開発したものを市場化する過程に横たわっている障壁」は研究開発から事業化に立ちはだかる3つの障壁の中の死の谷の説明
- 問18
- 解答 エ
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HRテックとは人的資源の管理に先進的なICT技術を活用するシステム。
ア 「ICTを活用して,住宅内のエネルギー使用状況の監視,機器の遠隔操作や自動制御などを可能にし,家庭におけるエネルギー管理を支援するソリューション」はHEMS(Home Energy Management System)の説明
イ 「既存のビジネスモデルによる業界秩序や既得権益を破壊してしまうほど大きな影響を与える新しいICTやビジネスモデル」は破壊的イノベーションの説明
ウ 「個人の資金に関わる情報を統合的に管理するサービスやマーケットプレイス・レンディングなどの金融サービスを実現するための新しい情報技術」はフィンテックの説明
エ 〇「採用,育成,評価,配属などの人事領域の業務を対象に,ビッグデータ解析やAIなどの最新ICTを活用して,業務改善と社員満足度向上を図るソリューション」はHRテックの説明
- 問19
- 解答 エ
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散布図の問題。xとy,2つの要因の相関関係を示すために用いる。プロットされた点の集合が右上がりであれば,正の相関。
右下がりであれば,負の相関と言う。
点が全体的に散らばっている場合,相関はない。
- 問20
- 解答 ア
- 知的財産権は,産業財産権と著作権に大別できる。産業財産権と総称されるのは,特許権,実用新案権,意匠権,商標権,の4つを指す。